第29話





「悪かったな、恭。あんな奴等と一緒にいさせて」

「ううん。先輩達、面白い人ばっかだね」



 抗があたしの腕をつかんだまま教室に向かう。その途中、抗が廊下を歩いたまま謝ってきた。

 抗の言葉にあたしは笑みを含めた声で返すと、抗は足を止めた。



 どうかした?



 そう思って抗の前に一歩足を踏み出すと、そこにいたのは二人の男子。



 誰だ?コイツ等……。



 あたしは二人の男子に顔を向けると、一人のトサカみたいな髪型をした男子が口を開いた。



「へぇ~…。まさか抗に、女がいたとはねぇ~……」

「それも、こんなジミーな女とは……。抗お前、見る目ないな」



 トサカ男子の言葉に続いて、鼻にピアスをしている男子が言う。それにあたしは頭にくるが、口を開かない。



 確かに地味ですけど!地味ですけどね!!



「恭は俺の女じゃねぇし、地味じゃねぇ。お前等にも、関係ねぇ」



 抗があたしの前に立つと、男子二人に向けてそう言い放った。その言葉にあたしは少し救われたが、それでも言いたい気持ちがある。



 お前等にそんな事、言われたくない!!



 ダサい格好をしている男子二人に、あたしは抗の隣よりさらに前に出る。



「そんなシャツ出して、似合わない髪型をしている君達に、そんな風に言われたくないね。てか、君達より抗の方がカッコいいから、自己中心的な考え方はやめなよ」



 あたしが真っ直ぐ男子二人に言うと、男子二人はあたしに歩み寄る。が、抗があたしの前に立つ。



「恭に近づくな。ただのしたっぱ風情が」



 抗がそう言うと男子二人は、足を止めた。



 したっぱ……っていう事は、コイツ等……。



「蒼連の……したっぱ」



 小声で言った言葉は、誰にも聞こえていない。

 抗は蒼連のしたっぱ二人を見たまま、あたしを守る体勢でいる。それに対ししたっぱ二人は、抗にゆっくり歩み寄る。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る