第27話





 もしかして……本気にしてる?



 辰己が口にした言葉に、あたしは慌てて口を開く。



「いや、辰己先輩!そんな嘘に……」

「見られてないよ。ただ、抗の隣にいるから、勘違いはされてるかもね」



 あたしが本当の事を言おうとしていると、言葉を遮って言った砦。その言葉に辰己は、砦の顔を見る。



「それくらいで、勘違いするバカがいるか」



 砦の言葉にくだらなそうにそっぽを向いて返すと、あたしは苦笑い。



 そうですよね……。



「気にしないで下さい、辰己先輩。ただの嘘ですから」



 辰己の姿に笑みを見せて言うと、辰己はあたしに顔を向ける。その眼は鋭く睨んでいる。



「くだらねぇ……」



 そう言い捨てるとあたしに背中を向けて、元の位置に戻る。



 すいませんでした。ただの出来心で言って。



 心の中で謝ると、あたしは屋上から出て行こうと、扉に向かって歩く。が、零二に止められる。



「恭ちゃん、どこに行こうとしてるのかなぁ~?」

「どこって、教室に戻ろうかと……」



 零二が後ろから扉を押さえて、あたしに尋ねてくる。あたしは伸ばそうとしていた手を引っ込め、零二に体を向ける。あたしの背中には屋上の扉があり、さらには零二の顔との距離が異様に近い。



 何これ……。この状況、何?



 逃げ道がない訳ではないが、あたしの目を見ている零二の眼から、逃げる事が出来ない。



「なんで、教室に戻ろうとしてるのかなぁ~?」

「なんでって……」

「恭にそれ以上、近づくな」



 さらに顔を近づけ、ニヤッと笑って尋ねてきた零二。

 零二の言動にあたしは動けずにいると、わずかな隙間から抗が入って、零二をあたしの前から退かす。



「抗……」

「何、抗。なんで俺の前に、入ってくるの?」

「女ったらしに、恭を近づけさせてたまるかよ」





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