黒豹

第25話





 前に会った時の格好を思い出し、あたしはそう感じて思った。そんな事に誰も気づいていない。

 あたしが圭を見て質問すると、いい質問だ!と言いたげな表情で話そうとする。



「それは……」

「女の子が詳しい事知っちゃダメ!辰己の名前が役に立つ事ぐらい知ってればいいの!恭ちゃんは!!」



 圭が説明しようとしていたところを、零二があたしの背後に回り、耳をふさいで言った。



 あっ、耳……。



 直接触れている訳ではないが、たぶん零二の手に当たっているであろう物を思い出した。



「あれ?恭ちゃん、もしかしてピアス、してる?」



 零二があたしの顔を覗き込んで尋ねる。それに笑みを見せて返す。



「はい。してみたくて」

「そうなんだ……」



 あたしが口にした言葉に零二は、意外そうに見る。それに笑みを見せたまま。



 右耳に二つ、左耳に一つ、ピアスをしている。その理由は単純だ。



 つけたかったから。



 自分の髪で隠しているため、耳に触れない限り、気づかれる事はない。だから零二がしてきた事に、あたしは内心気にした。



「辰己の名前が役に立つ理由だが……」



 脱線していた話を本題に戻したのは圭。それにあたしは黙って圭を見る。

 零二は邪魔をしてこないように、あたしから離して砦につかまれている。



「辰己はとある暴走族の総長をしてんだ」



 やっぱり……。



 口に出す事はしない。だが、その代わりに尋ねる。



「『とある』って……」

「恭は知らなくていい」



 あたしが圭に尋ねた言葉に、抗が強めに言い放つ。その言葉に抗を見る。あたしの目に入ってきた抗の姿は、何故か小さく見えた。



 ……。



「抗。あたし、離れたりしないよ?」

「!!」



 自然と口にしていた言葉に、抗が驚きの表情を向ける。それに対しあたしは、柔らかい笑みを見せる。





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