第24話
笑みを見せているあたしに圭は笑みを見せると、何故か屋上に完備されているベンチに座って、あたし達を見ている男子に声をかける。
「お前も自己紹介したらどうだ、辰己。いざっていう時、お前の名は役に立つからな」
圭にそう言われた男子はゆっくり、逸らしていた目をあたしに向ける。その時、あたしの背中を悪寒がザザッと伝えた。
知ってる……!この感覚……っっ!!
あたしの体に伝えたのは、恐怖じゃない。興奮だった。
「……
男子が名前を口にした瞬間、顔を見た瞬間、あたしの頭にひとつの記憶が過った。
そうだ、コイツが……。
「……豹だ……」
そうとっさに思い、感じ、口にしていた。
切れ長の目で鋭く、死に近い眼をしていたはずの豹は、綺麗な瞳をしていた。
あたしが小さい声で言った言葉に圭が、「何か言ったか?」と反応を見せた。それにあたしは笑って、「いえ。何も」と返す。
こんなとこにいたんだ……。
「辰己、言葉が足りないよ。辰己は圭と同じクラスだよ」
黙って辰己を見ているあたしの隣に、いつの間に来ていたのか把握していなかった砦が教えてくれた。だが、あたしの耳にそれは入ってこない。ただただ、興奮している体を抑える事に必死だった。
抑えろ抑えろ。興奮したって、バレたら意味がないんだ。
「……どうした、恭。手に力、入ってるみたいだけど……」
あたしの様子を見ていた抗が、腕を組んでつかんでいる手に、自然と力を入れていたあたしに尋ねる。抗の言葉を聞いてバッと力を抜いて、笑顔で「何でもないよ」と抗に返す。それに抗は不思議に思いつつも、引いてくれた。
豹……じゃなくて、三堂辰己。コイツが……。
「辰己先輩の名前が役に立つかもしれないって、どういう事ですか?」
黒豹の総長……っ!!!
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