第21話





 あたしがぶつけた質問に、零二と砦は顔を見合わせる。



「いや……この学校に女子がいた事は今までないよ。ここは元々、男子校だったからね」

「そうそう。共学にしたけどほら、見た通り、ガラの悪い奴等ばっかじゃん?だから女子は誰一人として入学してこない訳」



 再び顔をあたしに向けた砦に続いて、零二があたしの質問に答えてくれた。



 そういえばここ、元々男子校だっけ……。



 二人の言葉に、転校前に説明された事を思い出す。

 購買前にいる男子達を見て納得していると、男達によるお昼ご飯争奪戦が終盤を迎えていた。



「あっ、ご飯……」



 早く買わないとなくなる!



 残りが少ないご飯を見て、自分のお昼ご飯を思い出したあたしは、購買に向かおうとする。が、止められた。



「恭ちゃんがあの中に入って行くのは、危険だよ」

「代わりに買ってきてあげるから、ここで待ってて」



 二人に背中を向け、購買に向かおうとしていたあたしに、零二と砦が優しい声で微笑んで言い残すと、購買に向かってしまった。



「はい。これでいいかな?」



 争奪戦が繰り広げられている中、零二と砦は傷一つなく、平然とした顔で戻ってきた。



 いや、傷つく訳ないか。周りの男子達が道を開けて、選ぶの止めてたぐらいだからな……。



 遠くから見ていたあたしは、その姿に苦笑いをしていた。

 微笑んでいる砦から差し出されたパンを受け取ると、お礼を言いつつ財布を取り出す。



「これ、いくらですか?払いますよ」



 財布の中から小銭を出そうとコソコソあさっていると、砦が優しい声で言う。



「いいよ、これくらい。それより、恭ちゃんはどこでご飯食べるの?」



 微笑んで言う砦の言葉にあたしは何としても払おうとするが、その前に話を変えられてしまい、元に戻す訳にはいかない。そのため、話を続ける事にした。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る