第15話





「悪いな、恭。コイツは隣のクラスの大島哉オオシマハジメだ。哉、転校生の前田恭だ」



 抗が横で黙っているあたしに謝った後、丁寧にあたしの反対側にいる男子――大島哉を紹介した。そしてあたしを哉に自己紹介する。

 哉は抗の行動に驚いているのか、何も言わない。



「えっと……よろしく、哉」



 一応笑っている顔で固まっている哉に言うと、哉は嫌そうな顔をして「あぁ」と答えた。



 ま、これでも上出来な方じゃないか。



 あたしは勝手に思っていると、抗は立ち上がる。



「じゃあな、恭。またな」



 まだ一言二言しか話した事がない抗が、あたしに向けて小さく笑みを浮かべて言った。それにあたしは笑って返すと、不機嫌な様子の哉と一緒に教室を出て行った。



 抗って意外と、しっかりしてんのな。あたしの名前、しっかり聞いていたみたいだし。



 その点に感心しつつも、あたしはのんびり帰り支度をする。

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