第14話
―――――放課後
帰り支度をしていると、教室に一人の男子の声が大きく聞こえてきた。
「おい、抗!もう帰るぞ!」
あっ、隣の人を起こしに来たんだ。
教室内に響いた大きな声にそう思うと、隣を見る。抗はいまだ、起きようとしない。
「抗。迎えが来たみたいだよ」
寝ている抗にあたしは席を立ち、体を揺さぶって起こしていると、ドスドス歩いてくる音が聞こえた。かと思うと、抗の前で止まる。
「気安く触んな!抗の名前を呼ぶな!」
あたしは抗の前で止まった男子を見ると、男子はあたしの腕をつかみ、睨んで怒っている声で言った。そしてあたしの目を睨んだまま、腕を強く振り捨てる。
男子の行動にあたしの体は後ろに傾くが、ふらついたくらいで倒れる事はない。
なんだコイツ。コイツも抗と同じ族に入ってるのか?
あたしの腕をつかんでいた男子をただ見ていると、男子は抗を起こす。
「おい、抗!早く起きろって!」
「……ん……。なんだ、哉か……」
抗は男子に強く揺らされてようやく、体を起こした。
なんで抗、あの時体を起こさなかったんだ?目、覚めてたくせに。
男子があたしに向かって言っていた時、抗は目を開けていたが、体を起こそうとも口を開こうともしなかった。あたしが今体を起こした抗に、疑問を抱いている事に気づいていないようで、二人は勝手に話を進める。
「この女、さっき抗の体を触ってたぞ!コイツは危険だ!すぐに……」
「それは哉が決める事じゃない、俺が決める事だ。それに、ちゃんと俺が自分で名前を教えたんだ。哉が恭を怒る理由はない」
えっと……。
怒っている男子と真っ直ぐな眼をしている抗の間で何を話しているのか何となく分かったが、あたしが間に入っていいのかどうか分からないでいると、抗があたしに目を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます