第9話
「優先生、彼女を教室に案内して下さい」
ソファーから立ち上がって一度、健介さんを見る。健介さんが別人のように優しい微笑みを見せて話す姿に、表情は変えないが内心、驚きと笑いが起きている。
初めて見た!健介さんが猫を被ってる姿!!
それにも気づいていないようで、健介さんはあたしに猫を被った笑みを見せる。あたしは表情を表に出さないで返事をすると、優先生の後を追うように歩き、教室に案内される。
「今日から前田さんのクラスは、1年C組です」
「1年C組……」
教室の前で立ち止まって担任の言葉に小さく言うと、担任が優しい笑みを浮かべて言う。
「先に教室に入りますので、後に続いて入って来て下さい。自己紹介してもらいます」
「はぁ…」
担任の言葉に曖昧な返事をすると、教室のドアが開かれた。
―――――ガラガラッ
「ホームルームを始める前に、転校生を紹介するぞぉー」
勢いよく開かれたドアに反応を見せない生徒。そんな生徒を見て言って担任が中に入る。その後をあたしは黙って歩いて行く。担任の言葉を聞かずにいた男子達は、“転校生”という言葉に反応し、席に着く。
そこは反応しなくても……。
と思いつつ、あたしは教壇に立つ担任の横につく。
「おっ、珍しいなぁー……。皆が席に着くなんて」
そりゃそうでしょうね。
パッと見ただけのあたしでもそう思ってしまうほど、男子達の見た目は不良に近かった。
まぁ不良でも、見た目に出さない奴はいるけどな。
男子達を見て思いつつ、あたしは一歩前に出る。
「今日から辻蘭高校に転校してきました、前田恭です。至らぬ点が多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
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