第2話







 ―――――あれから数年後。

 冷たい風が吹く暗い夜の中、黒いオーラをまとい、死に近い眼を見せている、暴れ狂った豹を見つけた。血が広がる、その中で―――――




 何の輝きもない、黒く濁っているその眼でただ立っている豹は、近づいてくる足音を聞いてか、低い声を出して言った。



『なんだ、テメェ……』



 豹はゆっくり近づいて来る彼に顔を向け、左手でつかんでいた相手の胸ぐらを乱暴に振り放した。彼は豹の声を耳にしていながら、顔を周りに向ける。周りには、血まみれの男が十何人か倒れていた。



『……暴れたかっただけか?』



 彼は豹の周りを見たまま口元に笑みを浮かばせて言うと、さらに近づいていく。静かに、ゆっくり。豹は彼が何を言おうが言うまいが、無言で睨んでいる。



『……なんも感じねぇの?』



 彼が静かに口にした言葉に、豹は眉間にしわを寄せ、威圧を出したままでいる。そんな事、彼が気にする事はない。



 ……コイツ、似てるような気がする。



 彼の直感がそう言ってきた。

 彼は豹の正面で足を止めると、眼を真っ直ぐに向けて言う。



『……ただ喧嘩すりゃいいって、思うんじゃねぇよ』



 ―――――その瞬間だった。彼の言葉を聞いて頭にきたのか豹は、彼の顔面に向かって拳を振り下ろした。




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