第3話






 ……が、彼の顔面に届く事はなかった。

 豹が向けてきた拳を彼は左手で受け止める。そして、右手で拳を作ると豹の顔面ギリギリで止めた。拳は豹の顔面との距離はわずか数センチだと思われる。



 『考えてる事ちげぇよ。喧嘩はただすりゃいい訳じゃねぇ。自分の“大切なもん守るため”だけに、喧嘩するんだ』



 豹の顔面で止めていた右手を下ろすと、彼は一歩豹に近づき、口角を上げて言葉を続ける。



 『―――――探せよ。守りたいって思えるもん。自分のその手で“大切なもん”、手に入れろ』



 彼は右手に再び拳を作ると豹の胸に近づけ、ポンポンと叩いた。口角を上げ、凛々しく笑っている彼は固まっている豹に構わず、豹の頭をクシャクシャと左手を伸ばして撫でた。




 ……月明かりが差し込んだ、体が冷え込むほど風が入り込んでくる、森林の奥にある湖であった、豹との出会い――――。
















 ―――――これは、一人の少女が“光”を見つける話である。











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