PROLOGUE
第1話
―――――“大切なもんなんて、簡単に手に入らない。だから、この手で手に入れろ。”
―――――“喧嘩は大切なもん、守るためだけにやれ。大切なもんを失わない覚悟でな。”
…………誰が言ったのか忘れたが、この言葉だけは覚えていた。
あたしが4歳になった頃の記憶―――――。
その人は家を出て行く前、玄関で見送りをしようとしているあたしに体を向ける。あたしはその姿に黙って見ていると、自分の左手の薬指にはめていた指輪をあたしの右手に乗せ、ギュッと握らせると笑顔を見せてくれた。笑顔を見せて玄関を出たその人は、その日以降あたしの前に現れる事はなかった。
…………小さい頃のあたしは、感情がなかった。ただただ、暴れてた。
でも……いつの間にかそばにいた人が、あたしの前でいなくなった。その時にこの言葉を思い出した。
なんで分かんなかったんだろ?……って。
その日からあたしは“大切なもんを守るため”だけに、喧嘩をするようになった。
その前からあたしは、“青龍”という族についていろいろ教えてくれる人がいた。あたしはその人からいろんなモノを教わった。
何が正しくて何が間違っているか……そんな事ではなく、この歳で触れてはいけない事を教えてもらっていたような気がする。
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