第114話

すんと長身の男が鼻を鳴らした。

「お待ち!」

既に背中を向けて歩き出していた男に腕を振る。


ビュンと空気がうねった。

男は背中のクレイモアを抜き払い、力一杯振るった。振り返る遠心力も加わり、バシーン迫ってきていた女の長い爪を弾いた。


男は平然としているばかりか少し笑った。クレイモアを背中に戻す。

「逃げるのかいっ!?」

「…見てみなよ」

軽く視線を投げるとまた歩き出した。


女は爪を見た。人差し指の爪が折れていた。女は悔しさで奥歯を噛み締めた。

「相変わらず強いですね」

青年の感想には感情がこもっていなかった。

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