第96話

「今はこれが精々だろ」

キセキがうっすら雲の張った空を見上げて言う。

太陽の輪郭が丸く見えた。


魔王が現れてから、太陽が顔を出すことは無くなった。

夏も快晴はない。冬は地面に付くのではないかというくらい灰色の雲が重く垂れ下がっている日々が日常的だ。


スルムに案内された船は、想像していたものより、小綺麗だった。

「月に一度、大修理をするんだ。キャーップ!!」

船見上げ声を張り上げると人間が一人飛び下りてきた。

「今回の勇者だって?俺ァマーロックだ。キャプテンロックと呼んでくれ。よろしくな」

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