第10話

「ここでいいや」






引っ張られて連れてこられたのは体育館裏

よくありそうな場所

こんな死角じゃ先生に見つけてもらうことは無理そう







「蘭の手離しなさいよ

そもそもあたしに用事があるんですよね?」






「可愛くない女だね

こんなのが瑠夏くんの彼女な訳?」




「わっ」





遥ちゃんの方に押される




解放されたのは嬉しい





でも、遥を指さして笑う姿を見て不安になる

当の本人は全く気にしてないみたい






「この女も朝、莉央くんたちといたよね」






「たいして可愛くないくせに」






「あたしたちの方がかわいいのに」






長い髪をくるくると指であそぶ

その指には綺麗にネイルが施してあって

耳にはたくさんのピアス





「私も先輩たち可愛いと思います」




「は?」




「え、?」





気づくとそれは言葉にしていて

みんなの視線があたしに集中する






「ばかにしてんの?」





一気に空気が悪くなる

でも止まらない





「してないです

遥ちゃんはかわいいです!


でも先輩方も可愛いです!

朝早くから髪を巻いて

メイクだってすごく時間かかるし、

ネイルだって!!サロンでしたんですか?!」





「え、は、いや、自分で」






「セルフなんですか?!?

可愛すぎますほんとに!!!!」






先輩に詰め寄る

遥ちゃんをバカにしていることに関しては許せないけど

可愛いは努力がないと成り立たないし

先輩たちが努力したことは間違いない





「ちょ、」





「アイシャドウも可愛いです

今流行りの」





「うざいうざい、今日のところは勘弁してあげるんだから!」






「え、あ、先輩?!」




本日2度目、先輩に突き飛ばされる

褒めてるのになんで?

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