第6話

「えっと、それはどういう」






無意識の言葉はあたし以外にも届いていたみたい

林檎さんの眉間に皺がよる





「なになに?白雪ちゃんだっけ?

相手のプライベートゾーンに入ろうとするのはいいけど順序を守らないとね〜」





「お前が言うか」







林檎さんの言葉に恥ずかしくなった

結城さんが突っ込んでくれたおかげで空気は悪くならずに済んだけど

知らない人にズカズカと入り込まれるの嫌だよね、

怖いよね、






「ごめんなさ」






「うざ」








謝罪は吐き捨てられる

すごく冷たい声




正直怖い

心臓が嫌な音を立てる

飴の味がしない





「も〜!白雪さん気にしないでね〜、

朔はいつもこんなんだから〜」






慌ててフォローしてくれる瑠夏くん

秋月さんと友達なのに周りを見てくれてて

私のせいなのにすごく申し訳なくなる





また嫌われる







「こちらが先に名乗らないですみません」




私を守るように遥ちゃんが前に来てくれた

だめ、守ってられるばっかじゃ




「はるかちゃ」





「あたしは櫻井 遥と言います

この子は白雪 蘭」





私の言葉を遮るように遥ちゃんが自己紹介してくれる

でもその顔は笑ってなくて






「瑠夏から聞いてる〜

彼女ちゃんでしょ〜って、うわっ!」




「同い年だからはっきり言うけど…

聞かれたくなかったことかもしれないけど!!





言い方ってものがあると思うんだけど!

その言い方に関して言うことは無いの!?」






「遥ちゃん!」







林檎さんをおしのけて秋月さんの前に出る

彼はすごく嫌そうな顔

でも、遥ちゃんは止まらなくて






「あんたが女嫌いだかなんだか知らないけど

蘭だって嫌がらせで聞いたわけじゃないんだから」






「遥」






瑠夏くんが遥を止めに入る

私は何もできないまま遥ちゃんを見ることしかできなかった

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