第227話
「おい裕」
「何?こっちは忙しいんだけど」
「財布」
永久もなかったみたいで裕に財布を強要する
不思議そうな顔の裕を見て
言葉が足りない永久の代わりに説明をする
「あたしも永久も財布忘れちゃってて」
「うん」
「自販機で飲み物買おうと思って」
「波流ちゃん喉乾いたの?
もしかして、永久の?」
さすが理解が早い
ブレザーの上着から財布を取り出しながらにこやかに聞いてくれる
さすが紳士だなぁなんて考えながら自分のじゃないことを伝えて
「あたしはさっきもらったから、代わりに買って返そうと思って」
「ん?誰にもらったの?」
「え、誰って」
腕を組んで笑う姿はどこか不快そう、?
でもかくす必要はないし
「ちょ、あかん、波流」
「椿だけど」
「あかーん!!!」
絶対に間に合ってない秋に口を塞がれる
その動きに裕も永久もその他大勢もびっくりしてる
だって飛んで来たんだもん
言葉の通り飛んできた
それを見ても一番冷静なのは多分あたし
「あかんて!!」
「おい」
「絶対あかん!!」
「秋!!」
「椿と間接チューとか言うたらあかん!!」
自分で言った
あたしはそこまで言ってないのに
みんなの動きが止まる
あたしの上から降ってくる言葉はあかんの一言のみ
みんなの視線が秋から椿に変わる
顔色は変わらない
そんな椿に隼人の飛び蹴りが背中にヒットした
反射的に蹴り返す
あーあ、楓と叶斗が止めていたのも水の泡になった
乱闘だよこれは
麒麟の問題児vs鬼龍の喧嘩狂
誰も止めないし、止められない
「秋」
「椿は悪くないんですぅぅぅぅぅぅぅ」
「ん、離して」
秋の手をずらして声をかける
叶斗の問いかけに対して標準語で返すあたり本気で焦ってるのかも
あたしが変わりに説明をしても納得してない男が数名
「波流ちゃんに水筒買ってあげないとね」
「裕いらないよ」
「何?首からかけるタイプがいいの?」
見せつけられる携帯画面は凡ネットショッピングのサイト
カートに入ってる水筒の写真を見て言葉を失った
「2度と同じ過ちは犯さないように…いいね?」
NOなんてあたしに言えるはずなくない?!
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