第228話
あたしが勝手に1人になったことを裕に怒られて
秋も場所がわかったのにも関わらず報告しなかったこと
椿も黙ってたこと、煽ったこと、喧嘩したこと、その他諸々
隼人もついでに怒られた
近くのベンチに腰掛ける椿の隣に座る
椿の保護者、秋がみんなから集団リンチに会う姿を椿と2人で眺める
「椿ごめんね」
「謝る理由は?」
「バカな隼人が飛び蹴りをした」
「あー考えとくわ」
クスクスと笑う姿は本当に年相応に見える
痛いか聞いても笑うだけ
「マスクは外さないの?」
「嫌なこと聞いてくるな
外さねーよ」
黒いマスクを指差すけど数時間前に比べると表情が丸くなった気がした
あたしのいる黒狼にも隠しておきたい傷を持ったやつなんて大勢いた
それを見せつけるもの、隠すもの、気にするもの、気にしないもの
そんな考えの人は十人十色なわけで
椿はお兄さんとのことがあるから今は外せないのかも知れないけど
いつか堂々と外せる時が来たら
「あたしの前では外してよ」
「は?」
「もっと椿のコロコロ変わる表情が見たい」
「きも」
そう言いながらまた笑ってくれた
ザザザという音が突如中庭に響く
「放送?」
突然鳴り出すチャイムの音
授業の終始を告げるものではなく、業務内容を告げるものだった
放送の主は
[こんにちは、理事長の神崎 龍です。
あんまり顔ださないから知らないかな]
龍さんだ
驚くのはあたしだけでみんなはなんとも思ってないみたい
「もうこんな時期か」
椿の言葉を聞いてもピンとこないのはあたしだけ
[来週体育祭を開催する
知らない奴もいると思うから、今から軽く説明する
よく聞けよ
普通の高校とは違ってここはケンカが種目としてある
普通のリレーとかもあるけどな、
盛り上がり具合がちがう
代々麒麟が統一してきた高校だ
先代が決めたことだから、俺も、他の教師にも口出しはしねぇし、させねぇ
説明はこんなもんにして、
麒麟の総長と副総長
今すぐ理事長室にこい
対戦相手と賭けるものを決めに]
ブチッという音と共に永久も裕も校舎に消えていく
龍さん…流石にあたしのいた高校でもマシな種目ばっかでしたよ、
だけど、伝統を大事にする人だからこの考えも納得せずにはいられない
考え込むあたしが不安になってるとでも思ったのか
「波流〜安心して!
大体いつも麒麟のOBと殴り合ってるから!!」
楓からの熱いハグ
でも口から出て来る言葉は可愛くない
「うん?」
「それに賭けるのも焼肉ーとか、
一ヶ月後にある文化祭の時の無料券とか!!
変なもんが多いからね!!」
楓がうっきうきで教えてくれる
割とこの学校行事好きなんだね
「今のとこに連勝してるからこのまま勝ち続けよう!」
おーなんて言ってるけど
「鬼龍は関係ないんでしょ?」
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