第221話

冬に入ってから行かなくなった学校の代わりに、

誰も近寄らないような神社で時間を潰す

生きている意味もないような日々



それを変えてくれたのは秋さんだった








「お前何してんの?」






境内で昼寝をする俺を覗き込んで






「お前中学生やんな?

髪の毛染めたらあかんねんでー?」







今よりもっと蛍光黄緑の頭を指さして

いたずらっ子のように笑ってた








この日初めてこの地域に引っ越してきたという秋は

俺のこと知らないみたいで毎日同じ時間、同じ場所に現れた







「椿はその髪色怒られへんの?

俺今日、教師に黒彩振られてん」






ほらここなんて指差す先は真っ黒だった







「俺はみんなと違うから」






「何が違うんや?」






「学校の奴らに聞いただろ」






「俺は本人の口からしか聞かん男やねん

男らしいやろ」






今思えば、この時から秋さんは秋さんだった

こいつには、この人なら俺の話を受け止めてくれる

兄貴をわかってくれるそう思った





案の定、秋は変わらなかった

バカにしないし、哀れんでもいない

ただ隣にいてくれた





その時空に描かれる飛行機雲を2人で眺めた






「なぁー、椿」





俺の名前を呼ぶ秋は何かを決めたような顔で







「俺思うんやけどな

いくらお前が兄貴のこと好きでも、

それは許したらあかん事やと思うで



ほなって、お前事実を知らんやん

なぜそんなことしたんかわからんのに許す…

いや、理解なんかしたらあかん






ちゃんと話さなあかん」





そう言った

初めてだった

俺の話をちゃんと聞いてくれた人



俺の事を思って言ってくれた人




嬉しかった




でも






「俺、兄貴の居場所わかんねぇよ、」







ただ、そう口にした

本当に分からなかったから

覚えてるのは知らない男たちの制服だけ

手がかりなんてそれ以外なにもなかった




少し悩んだ素振りを見せて





「じゃあ、1ヶ月待っててくれん?

1ヶ月後、俺がここに来るからその時は俺に着いてきてな」





いままでと同じように笑って

それを最後にどこかに走っていった















それから秋は本当に1ヶ月顔を出さなかった

元の日常に戻っただけだったけど少し寂しかった

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