第217話
椿の隣に座る
隣に座ることによって、
積み立てられた本の壁のせいで顔は見えない
けど、机に突っ伏している彼を見ると妥当な考えだったかななんて笑ってみる
机に突っ伏したまま椿が何か言ってる
よく耳を近づけて聞こえたのは
「おい、携帯」
「あ、ごめん」
椿に言われて気がつく
マナーモードにしていて音は無いものの、自己主張をするように携帯が光ってる
叶斗か秋だな
何も言わずに飛び出してきたもんね
怒ってるかな
申し訳ない気持ちでいっぱいのまま電話に出た
「もし」
「オラァ!!!クソテメェどこにいんだ馬鹿野郎!!!!!!!」
通話ボタンを押すなり遮られる声
耳に当てていたはずの携帯が気付いたら手元になくて
反射的に投げたのかなんて思ってしまったほどびっくりした
「ほんとうるさい人ですね」
あたしの携帯は椿の手のひらに綺麗に収まっていて
初めて会った時のように言葉をこぼしている
でた、椿のいい子モード
『んでテメェが電話に出んだよっ!!!!』
おかしいだろなんて叫んでるのは隼人
なんでそんなに大きな声で話せるのかほんとに不思議
そんな大声に一瞬嫌そうな顔をしたけど
「今一緒にいるからですよ」
反撃をするかのように火に油を注ぐ
なんでそんなに自分が不利なことを言うんだろ
いや、これは多分
『くそてめぇ!』
「悔しかったら探しに来たらいいじゃないですか?
俺だったらGPSでもつけときますけどね、」
隼人に関して、
いや、
麒麟に対しての宣戦布告みたいな感じだと思う
秋の足を引っ張らないんだったら俺だって認めてやるよ⋯ってことかな
面白いね椿
携帯からギャーギャーと騒ぐ声がピタッと止んだ
あー、通話切ったんだ
あたしも後で怒られるかなーなんて呑気に考えてると
「わりぃ」
困った顔をしながら謝る姿が目に映る
さっきと全く違う
素の椿だと思う
こんなにいい子なのになんでみんなに伝わらないんだろ
あたしに携帯を返したあと、
自分の携帯を眺めてはため息をこぼす
多分秋からたくさんの連絡があったんだろう
それでも返さないのは、あたしとこの前の続きをしたいと少しでも思ってくれてるからだったらいいな
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