第214話
叶斗が少し離れたところで裕に電話してて、秋は後始末に元の場所に残った
それであたしは、再び椿と教室で二人きり
2人の気遣いのおかげであたしも気になることをやっと聞ける
「椿ってあたしのこと見たことあるの?」
この前の発言が少し気になっていた
裕や、さっきの男たちの言葉を思い出してもいまいちピンとこない
忘れているぐらいの記憶
それは多分黒狼にいたあたしのこと
もしそうなら早く対処しておかないと…
椿は予想外の質問に少しきょとんとしている
出会って初めて見た時より表情が豊かだね
マスクをしていてもわかるほどに
「いや…俺の勘違いかも」
そう言葉にしていてもまだ確信がないからなんだろう
椿は頭がいい
情報が少ないから大事にしたくないんだと思う
少し考えるそぶりをしたあと
「今度は俺の質問
お前は俺のどこまで知ってる?」
どこまでって
「どこまでだろ
多分何も知らない
強いていうなら、優しい人ってことぐらい」
そういうと、髪の色に負けないぐらい赤くなった
秋が近くにいながら褒め慣れてないみたい
わざとらしく窓をあけて、風に髪が靡く
心地よい風の音が入る教室で、椿を眺める
その姿は何を言おうか迷ってるようで少しもどかしい
そんな彼が、風の音に消えそうなほど小さな声で話し出す
「俺はお前のこと好きじゃない
秋さんがお前といるだけでヒヤヒヤする
麒麟は興味ねぇけど、秋さんが好きな鬼龍は守りたい
だから、お前がここにいるのはすごく反対」
その本音はあたしにもわかる
あたしがここにいていいのか、
足を引っ張るんじゃないか、
彼らを傷付けるんじゃないか
平穏な日々は続かないってわかるからこそ椿の気持ちがわかる
「でも、それは俺にも言えることだ」
今度はしっかりとあたしの目を見てくれた
「お前知ってる?
俺、麒麟じゃいい顔されてないんだよ
理由わかる?」
「わからない」
「まあ、そうだよな
俺が共通の敵だからだよ」
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