第213話
「ははは」
乾いた笑いが響く
声の主は椿を見たままニヒル笑いをする
そのまま近づいて叶斗の前に立つ
「辞めてくださいよ、叶斗さん
俺らじゃないでしょ?
ホンモノの裏切りモンは」
意味深な言葉を並べて笑う
それでも彼は、椿を見続ける
当の本人は何も思ってないみたいだけど
あたしの目の前にいる秋の拳に力が入っていくのがみえる
「おい、秋」
叶斗の声に反応して笑う
「お、おう、いけんでー、抑えとるわ」
引き攣った声
でもよかった、ちゃんと声は届いてる
「それならいいけど…
あ、一つ訂正
俺もこいつはきにくわねぇ
でも椿は仲間だ」
間髪いれず、叶斗がそいつを殴って喧嘩が始まる
刃物を持ってることに少しだけ心配したけど、
そんなの関係ないみたい
一瞬で片がついた
秋が喧嘩強いなんて予想外なんて言ったら怒るかな
無駄な動きがなくて綺麗に戦ってた
秋と椿で2人で一つみたいな
叶斗とのペアもいいけどさすが鬼龍の2人
少し感心してると重くなる頭
石鹸のいい匂い
香水なんか使ってない新しい香り
「秋さん、こいつにケンカ見せてよかったんですか」
少しだけ心配したような口調
ケンカを見て動揺下とでも思ってんのかな
そんなことを思いながら、椿の体重に眉を顰める
全体重かけてきていて笑えない
そんなあたしを叶斗が助けてくれる
「椿が思ってるほど、弱い女じゃないで」
あたしたちを見ながら秋は笑っていた
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