第206話

椿の手には男の胸ぐらがあって、足元には数人転がっている



椿の顔に多少の怪我がある

でもどれもかすり傷で、倒れている人たちの方が重症に見えたんだけど…







「何度だって言ってやるからな、お前のせいで」






「うるさいから寝てなよ」







「ぐぁ」






椿が男を捨て腹に蹴りを一発

喰らった男は気絶してもう動かない





男なんか初めっからいなかったように一直線にあたし達の方に歩いてくる

人を踏んでも気にしない興味があるのはあたしだけみたいだね





椿が一歩ちかずくたびに隼人の手に力が入る




もしかしてこいつら仲悪い?







「てめぇ、近づいてくんな」






「隼人さんに近づいてないっす

この女っす」






指を刺す先にはあたしがいて

視線は逸れない







「近づいてんじゃねぇか!!

この女に近づくイコール俺に近づくなんだよ!!!」





珍しく正論を言ってて面白い

笑いそうになるのを抑えると視界が揺れた


視線の先にいた椿がいなくなった

いや、右手を引っ張られて椿が見えなくなった方が正しい

隼人の背中の後ろに隠されて手が離れない







「その女誰ですか

新しい女ですか?




どっかでみたことが」








「うっせぇな

てめぇに関係あんのかよ」






「ないっすけど」






冷静な椿とは違って、棘のある言い方

現にあたしの手は少し強く握られていて隼人が不機嫌なことは安易に伝わる






「隼人、椿嫌いなの?」





「あぁ????

てめぇ、さっきから椿、椿って言いやがって







どっちのみかたなんだよ!!!」








「味方も何も

椿が麒麟の傘下なら見方には変わりがないと思うんだけど」








あたしの一言に何も言い返せなかったのか、バツが悪そうに目を逸らされた

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