第179話
じっと鯉を眺めていると
1つの影が視界に入る
いつの間に居たんだろ
あたしが入ってきた反対方向の入口
真っ黒な髪をした旅館の浴衣を着こなす人物
その男の視線の先は上を捉えていて
月を見てるようだった
その横顔はなんだか苦しそうで
「永久」
あまり大きな声ではなかったと思う
ほんとに小さく名前を呼んだ
呼ぶつもりはなかった
けど口が勝手に動いてたんだ
すっと月からあたしに視線が変わる
目が合う
真っ黒な光が無い目が段々と目が開かれていく
あたしだと、理解した瞬間顔が強ばった
「・・・なんでいんだよ」
「永久が居ないから探しにきた」
はぁ、なんで大きなため息をついてくる
そんなに嫌なのか
ふいっとあたしから目を逸らしてまた月を見る
さっきとは違う表情
永久は何を抱え込んでいるの
あたしに何かできる?
そんなこと言えるはずがない
それから少しの時間が経ったと思う
あたしはどうしたらいいのか少し悩んだ
お互い動く気配がない
もう帰ろうかな
そんな心配をした
けどそれも無駄だったようで
「こっちにこい」
その一言で自然と口角が上がっていた
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