第92話

「外にいる

なんかあったら叫べ」







永久がドアの外から声をかけてくれる








永久も羅刹のことでいっぱいいっぱいだと思うのにな







あたしが、秋のとこに行っていいって言ったのに







『羅刹に男か女なんて関係ねぇ

いつ来るかわかんねぇなら離れるわけにはいかねーだろ」









ほらいけなんて脱衣所に放り込まれたもんな









自分の不甲斐なさにため息をつきながら、服をぬいでいく








~♪~♪








体にタオルを巻き終わってドアに手をかけたとき、静かな部屋に着信音が響いた









あたしにかけてくる人なんて限られてるから、誰?なんてのんきに携帯に手を伸ばす










携帯に表示された名前を見て思わず声が出た







「波流」








ドアの外から永久にはっとして慌てて「大丈夫!」なんて言って電話に出る












あたしが口を開くより先に、懐かしい声が聞こえた







『もしもし…久しぶり』

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