第38話

アヤを救えない俺は

天使じゃない


アヤを救えない能力なんて、意味無いじゃないか…


その気持ちを隠して笑い、アヤを笑わせるために懸命にギャグを言ったりした。

個人病室だったが、あまりに大声を発しすぎて、隣や廊下にいる看護婦や医者に注意されたりした。


それでもエイジは止まらなかった。止めるわけにはいかないという意地があった。


アヤがその言葉を言ったのは、夏休みも折り返し地点を前にしたある日。

「海…行きたいな――」

丁度、蝉が鳴き止んだ、

丁度、風が止まった、

丁度、会話も止まった、


その隙間を縫うような呟き……。


「…うん。行こう!どこにでも連れていくよ!」

すぐに、蝉も鳴き始め、風も流れ出し、会話も再開したのだが。

「海水は塩分濃度が高すぎて、被れちゃうんだけど」

アヤは苦笑いを浮かべながら小さく肩を竦めた。

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