第36話

コウヤが背中を擦ってくる。

「急患を運んできたそうだな?よくやった」

「…うん――」

コウヤの声をどこか遠く聞きながら、エイジは腕を見た。


なんて言うんだ……?

――風?

うん、風だ…


「まるで、風を抱いてるみたいだった…」

「患者さんか?」

エイジはアヤの病気を聞こうとコウヤを見たが、『守秘義務』があることを思い出し、やめた。

「どうした?」

「…なんでもない」

エイジは手を握った。

「なんでもない…。俺は、大丈夫」

コウヤはそれを急患を運んできた緊張感からきたものだろう、程にしかその時思ってなかった。

「兄さん…普通の女子高生の体重て何キロ?」

「身長によるが、大体45~50前後だ。それが?」

「…なんでもない」


…それ以下だ……


エイジは絶望的な気持ちでただ弱く左右に首を振っていた。

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