再認識

第33話

夏休みが迫っていた。

こんなにわくわくする夏休みは初めてで………。


その数日前、いつものように庭園にきたエイジだが、アヤがいなくて、具合が悪くて寝てるのかも?病室に行こう!喜ぶかも!と、浮ついた思考と足取りで、病院目指し歩きだした。


迷路状の植木の間をすいすい歩く。

途中にアヤがぺたりと座り込み、顔を両手で覆っていた。

すわ、毎日想定していたことが起きた!とエイジは駆け寄る。

「アヤ!?」

片膝を付いてしゃがむとアヤを覗き込んだ。

アヤはゆっくり顔を上げ、エイジを見ると弱々しく笑った。

顔色が恐ろしいほど蒼白だった。

「…ごめ……」

「うん、いいんだ。うん…」

エイジはアヤの手に触れた。医者の家系だから、やることはわかっていた。


冷たい……


脈と呼吸を確かめる。


どっちも弱い…


人など呼びに行ってる時間はない――


エイジはアヤの足と背中に手を回した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る