第32話

「待たせた!エイジ」

ハヤテが姿を現した。桜の木の下に行き、さぁどうぞと言わんばかりにエイジを見た。


エイジはハヤテに頷くと、立ち上がりアヤの前に立った。

「あ、あのさ…これ…」

ズボンのポケットから指輪を出した。

「なぁに?」

「早いけど、た、誕生日プレゼント…つぅか、アヤに似合うかな~、なんて…」

エイジは頭を掻いた。

「や、安もんだけど…い、いつかいっぱい稼ぐようになったら、もっといいの買うよ…」


ああっ!何言ってんだ!


アヤは両手を出して、そっと指輪を受け取った。

「一生これでいいわ」

愛しそうに指輪を見つめて言った。

「ありがとう」

とても嬉しそうにアヤは笑った。

左手の薬指にはめようと思ったが、緩くて中指にした。手を目の高さまで上げる。

「どう?」

「うん…似合うよ……」


アヤの笑顔がある。それだけでエイジは幸せだった。

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