第29話
アヤは羽織っているパーカーのポケットからピルケースを出した。
「エイジ、さぼらないでね」
「何で?」
「さぼりそうなんだもん。大切なことなんでしょ?これにお薬入れて」
アヤがエイジにピルケースを渡した。
「私も、検査さぼらないでちゃんと受けるから」
ね?とアヤが首を傾げる。
「…うん」
「絶対だよ?」
「わ、わかってるよ!」
「約束、ね?」
強引に指切りをされても、気恥ずかしさでエイジは何も言えずにいた。
「いたー!お母さーん」
「マリ」
手が離された。
アヤを見ると、小さな女の子を見ていた。
その目線の先に、母親がいた。アヤが母親のほうへ歩いていく。
エイジは立ち上がり、そのまま緊張の面持ちで親子を見ていた。
女の子がエイジに近づいてきて、目をくるくるさせてエイジを覗き込んできた。
「…………」
どう接していいかわからず、エイジは目だけを女の子に向けた。
二つに分けて結んでいる髪が、女の子が動くのに合わせふわふわ動く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。