第13話

「見間違えだよ」

「何だろうな?」

二人はすっとぼけてみた。

「ううん。そこの桜が……」

アヤは指を差そうとしてやめた。

「それより、エイジはここの子でしょ?この子も」

「ちが――」

「そうだよ!ニュースで有名な異端児だよ!」

少年の否定をエイジは遮った。

「エイジ!!」

少年はおろおろする。

「俺はここの研究材料だ。引いたか?」

痛々しい自虐的発言だった。

「研究材料じゃないわ!」

強い口調のアヤの一言に二人はぽかんとした。

「エイジもこの子も、私と同じよ。こうやって『生きてる』じゃない!同じ『人間』よ!」

きっとエイジを見据えて言う。


二人の心の氷を溶かした二人目の人間だった。


アヤは他の人間と違った。

「ハヤテ……」

嬉しさで泣きそうになり、エイジは少年のところへ行った。

少年はエイジにしがみつくと肩に顔を埋めた。

「泣くなよ――」

そういう、少年の背中を撫でるエイジも泣いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る