第9話

よく見ると、少女はパジャマだった。

「…お前、ここに入院してんの?」

「うん……。毎日検査ばっかりで、厭になって飛び出してきちゃった」

「き――」

きちゃったって…………


一気にエイジは怒りが冷めていった。


「私、アヤ。ミヤシロアヤって言うの。あなたは?」

「お、俺?…エイジ」

エイジはアヤから目を逸らした。

そのまま少し沈黙が流れ、さわさわと春風が草木をやさしく揺らした。

「え?名字は?もしかして外国の人?」

エイジの髪の色と瞳の色から判断しているのだ。

「そういうことにしといてくれ」

投げ捨てるようにエイジは言った。

「…そう。あなたも入院してるの?」

「まーな」

「そう…。ここにはよくくるの?」

「まーな」

「立ってるの、疲れない?座らない?」

アヤは空いている右側を手で示した。

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