第73話
「近道に入るよ」
運転手はウインカーを出して左折した。
狭い道を走る。
「こういう時は、主要道路よりこっちのほうが早いんだよ」
「慣れてるね」
「タクシーの前はピザの宅配をしてたから、ここら辺は庭みたいなもんさ。こういう場所はバイクで配達するんだ」
私はほ~と頷いていた。
暫く走るとタクシーが停まった。
「着いたよ」
ポケットを探り出てきたのは、五千円札一枚と壱万円札二枚。
「釣りはいらない。ありがとう」
私は五千円を渡してタクシーを下りた。
街頭では河東なんとかつー奴が演説を終えたところだった。
百メートルくらい先でももう一人、演説していた。
私は地図を広げた。それを見ながら歩いていると、『もう一人』の亀島なんとかつー奴のほうにきた。
亀島の親父!!?
私は地図を凝視して位置を確認した。
さんまるビルは…?
あそこだ!
誰かいる!
――そうか…!狙いは…
亀島を止めるためビルを目指し私は走った。
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