遅すぎた到着

第72話

家を飛び出したものの、亀島がいる場所まではかなり距離があった。


タクシーを止めて行き先を告げる。

「急ぎでお願いします!」

とは言ったものの、各所で演説があり、渋滞にはまる。

イライラして、リボルバーを一発鳴らそうかと思って、銃を持っていないことに気付いた。

すんなりタクシーに乗れた理由がわかった。


…冷静になれ!

亀島がライフルに拘っていたのは、スキルアップ?

眼鏡を替えたのは?


背も高くて、あんな派手な眼鏡していたら、目立ちすぎる…


私は頭を抱えた。


冷静になんてなれるかよ!!

薬盛りやがって!


目的ってなんだよ?

なんで薬盛った?


「大丈夫?お姉さん」

「なんだよ?」

顔を上げるとバックミラー越しに運転手と目が合った。

「いや、具合でも悪いのかと……」

「…考え事だ。放っておいてくれ」

口籠もる運転手から目を逸らす。

しかし声を掛けたくなる程今の私は切迫しているのかもしれない。


亀島が何をしようとしているのかわからないと言うのに。

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