第71話
少々焦りが心の端に顔を出した。
焦る必要がどこにある?
やはり先輩がきても僕はこの引き金を引くのか?
また銃を構える。
河東は演説を終え、次の場所に移動しようとしていた。
途端に雄弁になる父。
ガッツポーズをしてマイクを下ろす。
ゆっくり頭を下げる。
父の礼のタイミングは分かり切っている。
10 9 8 7 6...
カウントしつつトリガーに指を掛ける。
5 4 3 ――っ!
スコープの端に先輩を確認して一瞬指を緩めた。
父が顔を上げ車に乗ろうと背を向ける。
カウントがマイナスを数えだして、何もかもがスローモーションに感じた。
同時に全部が凍り付いていく音が聞こえた。
まったくの幻。
だけれど、妙に冷えきった気持ちで、僕はトリガーを引いた。
弾丸は当たり前のように父の頭を半分壊していた。
あとで、あれは僕にしては奇跡だ…と思うのだ。
その時の僕は至極冷静にライフルをバラしていた。
バンッ!!と勢い良くドアが開けられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。