彼の人のために祈りを(亀島side)
第46話
新しい「家」は廃墟になった児童院だった。
「よく見つけてくるなぁ?」
「大したことねぇよ」
「おっさんに児童院。似合わない」
「お嬢にも似合わねぇ」
僕には児童院暮らしは快適だった。
病院のあのリノリウムの冷たい感じ…蛍光灯をほとんど使ってなかったためにより一層冷たい感じが漂っていた。
「おーう。坊っちゃんは絵本好きか?」
ある日、読んでいた本をマサさんがとって眺めだした。
「あの家より暇つぶしになります」
「…お前、変わったな」
ポイと絵本を僕に渡す。
「変わりました?」
「なんだろうな~?カナに似てきた気がする」
マサさんはぷかーと煙を吐いた。
「…毒舌を?」
「そーそー。今さらっと言われたのは、俺ぐさっときた」
「嘘つけ。鋼の心臓が。はいよコーヒー」
先輩がカップをマサさんの頬に付けた。
「ぅわち!」
慌てるマサさんを見て、僕らは笑った。
仕事以外の話で僕はそれだけを明確に覚えている。
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