第101話

燈馬は千晶と向き合っていた。


「紫雲優芽さんの治療は僕が引継ぐから。君は担当から外れてくれ。お疲れ様でした。」


千晶はムキになって燈馬に食ってかかった。


「優芽さんが何か言ったんですか?院長が僕から優芽さんを奪うのですか?優芽さんは僕の治療が必要なんです。僕の側にいるべきなんです。納得できません。」


燈馬は写真を並べた。千晶が何人もの女性と親しげにしている写真だった。


「これはなんだろうね。婚約者がいる身分で、君は何をしているの?優芽さんは僕の知り合いの大切なお嬢さんなんだ。君には任せられない。君には大切にしなきゃいけない女性が他にいるよね。」


千晶は目を光らせた。


「脅しですか?僕はただ癒してあげていただけですよ。医者としてね。優芽さんも僕が必要なはずです。優芽さんは諦めませんよ。」


燈馬は最後の写真を出した。千晶が女性を抱いている。


「これは?癒してるの?写真の女性が被害届を出すと言ってるよ。薬で眠らされて無理やり乱暴されたって。君は医者じゃない。ただの卑怯者だよ。今すぐ警察に行くんだね。」


千晶は顔色が変わった。


「証拠はあるんですか?同意の上ですよ。僕は罪に問われない。」


燈馬は千晶に掴みかかった。


「ふざけるな。お前がその女性を脅している音声も、自分の欲望のはけ口にする為に女性を呼び出すメールも、証拠ならいくつもあるから。もう逃げられないよ。覚悟しろ。」


千晶は座り込んだ。青ざめて燈馬に縋った。


「助けて下さい。医者を辞めたくない。ここまでキャリアをつんできたのに。なんでもします。優芽さんは諦めます。だから、証拠は全て破棄して下さい。院長!お願いします。」


燈馬は千晶から手を離して見下ろした。


「千晶先生、今日付で解雇します。理由は言わなくても分かりますね。書類は改めて郵送します。君は今すぐ警察に行くべきだ。逮捕されるよりマシだろう。」


千晶は肩を落として診療室から出ていった。

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