第92話

燈馬は哉芽と優芽の様子を見て切なくなった。実の母親に恐怖を感じて生きてきたなんて。


「優芽さんは綺麗だから千晶は夢中になったようだね。でもアイツはもうすぐ結婚するはずなのに。僕が千晶に言っておくよ。優芽さんの治療は僕が代わろう。」


優芽はホッとした顔を燈馬に見せた。


「すみません。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。そうして頂けると嬉しいです。」


哉芽も燈馬の申し出に頭を下げた。


「優芽をお願いします。僕も優芽を守るために動きます。もし、僕たちの感が当たっていれば、その先生は危険ですね。あまり刺激しないようにした方が良さそうです。」


燈馬は咲来を思い出していた。彼女の独占欲と欲望は多くの人の人生を狂わせた。千晶があの咲来と同じなのか?


優芽を守らないと。燈馬はただそれだけで胸がいっぱいだった。

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