Episode25

第84話

茉白は久しぶりに主治医の診察を受けていた。茉白の病に名前をつけてくれた。幼い頃から体が弱いが原因は中々解らず、何度も検査した。


そのうち心が弱いのだろうと言う思い込みをされカウンセリングを受けた事もある。


葵を産むために紫雲家から逃げた病院で今の医師に出会い、茉白の病に名前がついた。


「調子はどうですか?痛みの方は強いみたいだね。燈馬君からカルテのデータが届いてる。オピオイドは燈馬君が処方してくれたんだね。」


いつも変わらない優しい声で茉白に聞いた。


「はい。量や回数は燈馬先生が管理してくれています。なるべく飲まないようにしています」


燈馬の医師として、茉白を救おうと努力する姿を思い出して涙が出そうになる。


「痛みを我慢し過ぎるのも良くないですよ。貴方はもっと自分に優しくしてあげて下さい。」


先生は茉白の身体を診察しながらこう言った。


「貴方は心が強いから、身体が悲鳴をあげるんです。半年前に痛みが強くなったのも、若いうちに無理をしすぎたからですよ。これからは思い切り自分を甘やかして下さい。心も身体もゆっくり休ませてあげて下さい。」


茉白は苦笑いした。


「はい先生。そうします。ありがとうございます。先生も何時までも元気で現役でいて下さい。先生は私達の病を、私達の苦しみを理解して下さる数少ない方です。」


先生はニッコリ笑っていた。

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