Episode24

第81話

燈馬は自分のビルに入っているCafeで本を読んでいた。茉白の病気に関する文献だ。人によって症状や痛みの度合いも違うので本当に難しい。茉白の痛みは一生消えないだろう。


オピオイドの頓服も量や回数に注意しないと、中毒症状やせん妄を引き起こす。燈馬は医師として一生茉白を守ると決めた。例え気持が実らなくても、茉白の為にできる事がある。それで充分だと自分に言い聞かせていた。


「すみません、睦月燈馬さんですね。初めまして。先日はご連絡ありがとうございました。」


凜とした美しい女性が燈馬に話しかける。夏の日差しが良く似合う向日葵のような笑顔で。


「君は。優芽さんですね。初めまして。この間はいきなりご連絡して申し訳ありませんでした。お会いできて光栄です。」


紫雲派のHPに出ていた家元の写真を見た時から綺麗だとは思っていたが、会ってみるともっと綺麗で可憐だった。


「はい。優芽です。いきなりすみません。どうしても御礼が言いたくて。兄と茉白さんの事、本当にありがとうございました。」

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