第78話

雨が止んで夏の光が部屋の中に入ってきた。

哉芽は眩しくて目を覚ました。横にいたはずの茉白がいない。


「夢だったのか?それとも僕はやっぱり。茉白は僕の事を愛していないのか。」


身体を起こして部屋を見渡した。

花が活けてあったテーブルにサンドイッチとメモがあった。


「昨日はありがとう。よく寝ていたので起こさずに行きます。葵に会った後、半年前までお世話になっていた主治医の診察です。哉芽はゆっくり休んでいて下さい。夕方戻ります。」


哉芽は身体から力が抜けた。


「ああ良かった。僕はまだ子供だな。茉白の事になるとこんなに余裕がないなんて。」

哉芽は茉白の香りがするメモにキスをした。

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