Episode22

第74話

病院からタクシーに乗る頃、茉白は強い痛みに襲われていた。葵には見せたくなかったので我慢していたが限界だった。茉白は燈馬から処方されているオピオイドの頓服を口に入れた。

目を閉じて薬が溶けるのを感じていく。


次第に身体が熱を帯びていった。感覚が鈍麻になって、痛みが少し薄らいでいく。ホテルについた茉白は必死に歩いたが、足元がおぼつかない。意識も少し朦朧としている茉白の身体を誰かが抱きとめた。この香りは哉芽君だ。


「哉芽君なの?どうして此処にいるの?」


茉白の口調がいつもと違っている。

哉芽は茉白の様子から頓服を飲んだことを理解した。早く横にさせてあげなくては。茉白を横抱きにして部屋に向かう。それを見ていた小さな女の子が嬉しそうに大きな声をあげた。


「ママ!見てみて。王子様だよ。お姫様を助けに来たんだね!私にも王子様が来てくれると良いな。ねママ。」

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