第73話

哉芽は宴会場の撮影を終わらせて。ロビーのCafeにいた。優芽と燈馬がいつから連絡を取り合っていて今回の計画を練ったのか分からないが、二人の思いが嬉しかった。茉白に会える。単純にそれだけで哉芽は幸せだった。


茉白は今母親として葵に会いに行っている。そんな茉白に哉芽はどんな言葉をかければ良いのだろう。いくら哉芽が茉白を愛していても、所詮子供のようにしか感じられないのか。自分の年齢が恨めしい。


優芽に宴会場の画像を送ろうとスマートフォンを取り出した。気圧予報アプリのランプがついている。消音にしていたので気付かなかった。

慌ててアプリを確認すると、急激に気圧が下がる予報が出ている。雷雨らしい。


哉芽は胸騒ぎがした。茉白は大丈夫だろうか。まだホテルには戻っていないはずだ。

ホテルの入口を見ながら、葵の入院している病院に電話をしようとしていると、タクシーから降りた茉白がロビーに入ってきたのが見えた。

茉白は足元が振らついていた。


「茉白さん!大丈夫?辛いの?僕に捕まって。」

哉芽は茉白を抱きとめた。

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