第71話
哉芽は車を運転してホテルへ向かっていた。海沿いにあるリゾートホテルで結婚式もできるらしい。海水浴を楽しむ人々を横目で見ながら久しぶりのドライブを楽しんでいた。
ホテルについて車を預けた哉芽はオーナーに面会を求めた。明るいロビーには沢山のフラワーアレンジメントが飾られている。華商如月が花を卸しているのだろう。
「紫雲様お待たせしてしまい申し訳ありません。どうぞこちらへ。」
オーナーは挨拶を済ませると、哉芽をスイートルームへ案内した。
「家元からお話は聞いております。どうぞごゆっくりお寛ぎ下さい。宴会場の撮影や必要な資料はスタッフに申し付け下さい。直ぐに手配致します。」
哉芽は優芽の手配に驚いたが、せっかくだから甘える事にした。
「お世話になります。こちらこそお手数ですが宜しくお願いします。」
オーナーとの軽い打ち合わせを終えて、部屋のソファに座った時に、テーブルに置かれている生け花に目がいった。白い花だけで活けられている。生け花の横に封筒が置いてある。優芽からのメッセージだった。
(兄さんお部屋は気に入った?ゆっくり休んでね。それから偶然なんだけど、今同じホテルに茉白さんが宿泊しているそうです。葵さんの出産のお見舞いで、しばらく滞在予定と聞きました。どうか茉白さんの体調を気にかけてあげてね。燈馬さんからも伝言です。茉白を頼むだそうです。兄さん素敵な滞在にしてね。愛をこめて。優芽)
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