Episode21

第70話

茉白はチェックインをすませるとベッドに横になった。車の座席に2時間座っていただけなのに、身体が悲鳴をあげていた。


「情けない。明日までに元気な顔ができるようにしなくちゃ。葵が心配しないように。」


半年前まで暮らしていた街。葵は睦月の系列の病院に入院している。30年前茉白が葵を産んだ病院だった。あの時の愛らしい葵の姿を思い出し茉白は幸福だった。


「どうか葵が家族といつまでも幸せでいられるように。それだけで、私は充分だから。」

茉白は燈馬から処方されている薬を飲んで眠りについた。

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