第60話
茉白は拒めなかった。燈馬の痛みに触れてしまったから。二人はキスをした。
「燈馬君辛い思いをさせてごめんなさい。哉芽君も燈馬君も幸せになって欲しい。それが私の願いなの。私はもう一人で良いの。葵と赤ちゃんだけが私の幸せだから。あなた達も家族を持って幸せな父親になって。」
燈馬は茉白の髪に触れながら耳元で囁いた。
「茉白を忘れようとしたよ。ほかの女性を抱いた事もある。でも、駄目なんだ。茉白にしか僕を幸せに出来ないよ。僕は茉白と家族になりたい。ずっと一緒に。」
茉白は俯いている。燈馬は茉白の顔を上げさせて明るく笑った。
「僕はずっと待つよ。茉白が哉芽君を選んでも茉白が辛そうにしていたら直ぐに奪うから。主治医としても従兄弟としても僕と茉白の関係は一生変わらない。だから茉白は茉白の気持ちに目を逸らさないでゆっくり考えて。でも体調だけは気をつけてくれないと主治医としては困るから。」
燈馬の優しさに、茉白も微笑んだ。
「ありがとう。私どうすれば良いのか分からない。哉芽君にも同じ答えしか出せないと思う。私は母親として生きてきたから。」
燈馬はもう一度茉白にキスをした。
「茉白は綺麗で素敵な女性だよ。僕はずっと君に夢中なのに。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます