第55話

哉芽は優芽が愛おしかった。優芽はいつの間にか強くて美しい女性成長していた。


「お父様は私に紫雲派と兄さんを頼むと言ってくれた。紫雲家の血が入っていない私に、華道を教えてくれて沢山の愛をくれた。私のお父様は紫雲紫耀ただ一人。最高の師匠で愛しいお父様の娘になれて幸せよ。」


優芽の手が哉芽の顔に触れる。


「だから兄さん。もう自由になって。自分の心に正直に幸せを見つけてね。命をかけて愛してくれたお父様のためにも。」


哉芽は優芽の手を握り微笑んだ。


「優芽。ありがとう。今まですまなかった。優芽にばかり残酷な真実を受け止めさせていたね。優芽もこれからは自分の幸せだけを考えて生きていってね。優芽は僕が守るから。」


二人は久しぶりに笑いあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る