第56話

哉芽と優芽はこれからの事を話し合った。優芽は茉白と葵に渡して欲しいと二つの箱を哉芽に託した。


「お父様からよ。お金を遺しても茉白は受け取らない。だからせめて花器を送らせて欲しい。葵さんには茉白さんからという事にして渡して欲しいとお父様は言っていたの。兄さんお願いします。茉白さんに届けてね。」


哉芽は気になっていた事を優芽に聞いた。


「僕は五年前に急に入院する事になったと父さんから聞かされてそれ以来会ってないけど、二人は今どうしているか優芽は知っているの?」


優芽は頷いて教えてくれた。


「直接連絡はしていないけれど、定期的に生活費を振り込んでいるわ。それもお父様との約束だから。引き落とされているから元気でいるのでしょう。何かあれば施設から私に連絡が入るようになってる。今はまだ無理だけど、もし私に子供ができたら会いに行こうと思ってるわ。二人が私をこの世に送り出してくれたから。」


優芽の表情は明るくて哉芽には眩しかった。

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