第52話
哉芽は家に戻って父の残したタブレットを手に取った。まだこの中に確認しなければならない事があると思ったからだ。
哉芽の知らない本当の父の言葉をちゃんと受け止めたい。初めてそう思った。
哉芽は遺言の続きを声に出して読み始めた。目を前に茉白が居るように感じながら。
(葵の存在を知って暫くしてから燈馬君が僕に会いに来たよ。咲来が茉白に会いに来て、そのせいで君の病が悪化し、君は動くことも眠ることも出来ない。ただ痛みに耐えている。もう紫雲家の人間を茉白と葵に関わらせないで欲しいと。
僕は燈馬くんから初めて君の病を聞いた。茉白の病は僕のせいだね。本当にすまなかった。咲来は一生許さない。哉芽に僕と同じ事をして心を壊すなんて。もう限界だ。
咲来は僕が責任を持って子供達から、茉白から引き離す。永遠に。そして茉白が痛みに苦しんでいるのなら、僕も最後まで苦しんで死ぬよ。
僕は期間が限られているから茉白の痛みに比べたら大した事じゃないからね。命が燃え尽きるまで、茉白、哉芽、葵、優芽の為に出来ることをしてあげたい。それが僕の最後の願いだ)
茉白の名前がついていたフォルダの中身はこれで全てだった。
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