Episode15

第50話

茉白は哉芽の顔を両手で押さえた。


「ごめんなさい。今の私には貴方を幸せにできない。年の差もあるけど私の病気は治らない。この身体じゃ何もしてあげられない。


私への感情は愛じゃない。情よ。もっと貴方を幸せにしてくれる人が現れる。貴方はまだこれから長い時間を生きて行くのだから。」


哉芽は寂しそうに笑う茉白を離せなかった。


「違う。愛じゃないなら何でこんなに茉白さんが欲しいの?僕が父と同じ血を持っているから?

貴方と一緒にいたい。苦しいくらい愛おしくてずっと抱いていたいのに。」


茉白は哉芽の腕の中で胸が苦しくなった。


「無理よ。私はいつ寝たきりになるかもわからない。それにもうすぐ葵に子供が産まれるの。私はおばあちゃんよ。」


哉芽は茉白を抱く腕を緩めなかった。


「話を逸らさないで。茉白さんは僕が嫌い?本当の気持ちを教えて。お願いだから僕を愛して。僕だけを見てよ。」

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