第48話

僕が25歳になった時、突然彼女が僕に何も言わずに去って行った。


母から、父が僕と彼女の仲を引き裂いたと言われた。紫雲家には相応しくないからと。僕は絶望して何も手に付かなくなった。


母だけが僕の側で一緒に泣いてくれた。僕は落ち着くからと言われて母の差し出した薬を飲んだ。意識が朦朧として身体が熱くて。気がついたら裸で母と一緒に寝てたよ。


母は驚いている僕にこう言ったんだ。


「これで哉芽がお母様の新しい玩具ね。もうお父様は要らない。哉芽はお母様をずっと愛してね。」


哉芽の頬を涙が伝う。

茉白は哉芽の傷の深さに震えていた。

哉芽は横になって泣いている茉白の顔を撫でた。


「泣かないで。僕はずっと母の玩具だった。生まれた時から母の思い通りに生きてきたんだ。父も茉白さんも憎んでいた。本当にごめんなさい。二人を壊したのは母なのに。」

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